「大商人の手本である」井原西鶴
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・江戸時代は約270年間続いたが、その間に多くの豪商が誕生している。
・「豪商」とは「富豪の商人。財力豊かな大商人」(広辞苑)である。だが、豪商の多くは「長者に二代なし」と言われた ように、一代で没落してしまった。
・その中で、「松坂屋」「大丸」「高島屋」「山本山」「西川」など今日まで、「老舗」として続いている店も少なくない・なぜそのような違いが出たのかー。私は、江戸時代の代表的な豪商である紀伊国屋文左衛門、奈良屋茂左衛門、三井高利 山本嘉兵衛、鴻池善右衛門、西川甚五郎、中井源左衛門、茶屋四郎次郎、伊藤次郎左衛門、住友吉左衛門、飯田新七、千 切屋与三右衛門、淀屋辰五郎、銭湯五兵衛について調べ、一冊の本にまとめた。
(「江戸商人の経営哲学」日刊工業新聞 社刊)
・江戸時代の豪商は、二つの型に大別できる。一つは、高度成長期に登場する政商・投機型の豪商。その代表的な人物が紀 伊国屋文左衛門である。もう一つは、それとは対照的に庶民を相手に成功した豪商である。
・その転換点になるのが、昨年NHKの大河ドラマで放映された「八代将軍 吉宗」の時代である。吉宗は、元禄時代に象 徴される放漫財政に終止符を打ち、「享保の改革」により緊縮財政を押し進めた。いわば、江戸時代のバブル崩壊後の行 財政改革である。以降、江戸時代は成熟期から衰退期へと向かうのだが、これは現代の様相によく似ている。
・数年前まで、日本は空前のバブル景気に沸いていた。バブルの波に乗り、「投機的な豪商」が登場。世間の話題をさらっ たが、これらの人々はバブルの崩壊と共に姿を消すか、その後始末に追われている。
・そして、いま高度成長期から成熟期を迎え、どの企業も経営の原点に帰り、地道に「顧客満足」を追求している。
・実は、江戸時代にも同じことが起きていた。幕府の政策が大きく転換した後で登場する豪商は、「顧客満足」を追求して いたのである。その代表的な人物が、これから紹介する三井高利である。
・テレビや映画の時代劇などでは、役人と癒着して金儲けのためには手段を選ばない豪商が登場し、ついには悪事がばれて お縄を頂戴するという設定が多い。そのようなことから、江戸時代の豪商はひたすら金儲けを追い掛けたのだろうと想像 しがちである。
・しかし、高利はそんな豪商とは、対極にある人物である。井原西鶴は、高利を「大商人の手本である」と賞賛しているが 私は高利こそ日本商業史上、最大の人物だと思っている。
・なぜ、そのように思っているのか。結論を先に言えば世界で最初に「顧客満足」を追求し、大成功をおさめたCS経営の 元祖だと考えているからである。
(「先進11社にみる顧客満足経営」日刊工業新聞社刊)
・「商人塾」では、全国の豪商のふるさとを訪ね、現地の人々の交流し、経営や生き方を学ぶ旅を行っているが、その第1回は「伊勢・松阪」であった。そこが、三井高利のふるさとであったからである。
・この企画は、テレビ東京「ワールド・ビジネス・サテライト」でも紹介されたが、参加者の中には「血を入れ替えられた ような気がする」と語っていたほどであった。
・三井高利とはどんな人物だったのか。また高利を生んだ「伊勢・松阪」とは、どんな町なのか。
(次に続く)