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白木屋番頭・独慎俗語

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商売の道は、商いの多寡にはよらないとは言いながら、大口のお客様には自然と熱意がこもり、注意するから失敗も少ないが、小口のお客様にはともすると粗末な扱いをしがちである。商人の心得としては、まず小口のお客様をこそ大切にすることが肝心だ。それと言うのも、商家はどこからも年貢は上がってこないのだから、たとえ僅かな売り上げでも、それが一家を支えとなっているからだ。人間にとって命ほど大切なものはない。命がなければ、なにを望んでも仕方のないことであり、立身出世も何の役にも立たないのだ。この命を養うもとはお客様なのだから、そのご恩をよく心得ておくように。金額の多寡で差別などしてはいけない。世間の諺にも『塵も積もれば山となる』とあるように、毎日の小口の売り上げを半期で集計すれば莫大なものになるのだから、おろそかにしていい訳がない。

ところが、とかく目の前のことにばかり気を取られるから、第一に売り上げの少ないお客様を侮り、第二にお使いに来た女性、子供を見下すから客扱いが粗末になるのだ。こうしたことは、自分のことを振り返って見れば分かることだ。買い物に行った時に、たくさん買う時には大きな態度で、強引に値切ったりすることがあるだろう。しかし、少ししか買わない時には、そんな態度は取らず先方の言いなりになるものだ。でも、先方の応対や挨拶について、帰宅した時に批判をするだろう。こうした気持ちは、店に買い物に来られたお客様も変わりはなく、店の応対について良くも悪くも話題になるものだから、世間の評判が良くなるようにしたいものだ。お客様こそが、毎日の命を繋いでくれているのだから、僅かしか買わないお客様でも自分の命を養って下さるのだと感謝すれば、お客様を粗末に扱ったり、不作法なことをなくなりお客様の印象もよく、良い評判を広めて貰えるものだ。

だから、お客様に対しては、買い上げの多寡によらず、丁寧に応対して、店の名を汚すようなことはしないか、暖簾に傷がつくようなことはないか、みんなで気をつけて貰いたいものだ。

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