パソコンのOSと言えば、WindowsやmacOSが有名ですが、もう一つ注目すべきOSが「Ubuntu」です。これは、Linuxをベースにした無料のオープンソースOSで、特に古いPCの再利用やプライバシー保護、コスト削減を求めるユーザーにとって魅力的です。この記事では、UbuntuとWindowsの違いについて詳しく解説し、Ubuntuを選ぶメリットをまとめていきます。
1. システムの基盤とソフトウェアの配布方法
基盤の違い
WindowsはMicrosoftが開発・管理するクローズドソース（非公開ソース）のOSです。これに対し、UbuntuはLinuxベースのオープンソースOSで、Canonical社がリリースしています。Ubuntuはソースコードが公開されているため、ユーザーが自由にシステムをカスタマイズしたり、他の開発者がバグ修正に貢献できたりと、コミュニティ主導で成長を続けています。
ソフトウェアの配布とインストール
Windowsでは、多くのアプリケーションが.exeや.msiファイル形式で配布され、個別のサイトからダウンロードすることが一般的です。一方、Ubuntuはパッケージ管理システム（APTなど）を使って、ソフトウェアのインストール・更新を行います。Ubuntuには「Ubuntu Software」というアプリストアがあり、無料でインストールできるソフトウェアが豊富に揃っています。これにより、煩わしいダウンロード・インストール作業がシンプル化されます。
2. セキュリティとウイルス対策
セキュリティの特徴
Windowsは世界で最も普及しているデスクトップOSであるため、ハッカーや悪意あるソフトウェアのターゲットにされやすい傾向があります。ウイルス対策ソフトが必須ですが、UbuntuなどのLinux系OSは、設計上セキュリティが強化されています。Linuxは「権限ベースのアクセス制御」を採用しているため、システムのコアにユーザーが簡単にアクセスできない仕組みがあり、不正アクセスのリスクが低くなります。
ウイルス対策の必要性
Windowsにはウイルス対策ソフトの導入がほぼ必須ですが、Ubuntuを含むLinux系OSではウイルス感染の報告が少なく、多くのユーザーが特別なウイルス対策ソフトを使わなくても安全に使用しています。また、頻繁にセキュリティパッチが配信され、システムが最新の状態に保たれる点も大きなメリットです。
3. ユーザーインターフェースとデスクトップ環境
デスクトップ環境の違い
Windowsのデスクトップ環境は基本的に固定されており、スタートメニューやタスクバー、システムトレイなど、ユーザーが大きく変更することはできません。対してUbuntuでは、「GNOME」というデスクトップ環境を標準で採用していますが、他にもKDE PlasmaやXFCE、MATEなど多様なデスクトップ環境があり、ユーザーの好みに合わせて切り替えたり、カスタマイズしたりすることが可能です。
カスタマイズ性の高さ
Ubuntuのデスクトップはテーマ変更やウィンドウ配置、アイコンなどを細かくカスタマイズでき、Windowsと比べてユーザーが自由にインターフェースを変更できる自由度が高いのが特徴です。これにより、快適な操作環境を作り上げることができます。
4. システム更新の仕組み
Windowsのアップデート
Windowsは大規模なアップデートが年に数回行われ、しばしば再起動が必要です。こうしたアップデートはユーザーの作業を中断させる場合があり、特に業務用のPCでは不便に感じられることがあります。
Ubuntuのアップデート
Ubuntuも定期的にアップデートが配信されますが、再起動が必要なのはカーネル関連の更新時のみです。多くの場合、ユーザーは再起動せずにアップデートを適用でき、作業を中断する必要がありません。また、アップデートの内容も自動的に通知されるため、システムのメンテナンスがシンプルです。
5. ファイルシステムとファイル管理
ファイルシステム
Windowsは主に「NTFS」や「FAT32」などのファイルシステムを採用しています。これに対し、Ubuntuは「EXT4」などのLinux固有のファイルシステムを使用しています。この違いにより、Windowsのドライブ構成（Cドライブ、Dドライブ）とは異なり、Ubuntuでは「/」というルートディレクトリを基に階層的な構造を持っています。
ファイル管理の特徴
Ubuntuのファイルシステムではパーミッション（アクセス権限）が詳細に設定でき、特にサーバー用途でのファイル管理が効率的に行えます。また、Windowsとは異なり、システムファイルとユーザーファイルの分離が明確で、セキュリティ面でも優れています。
6. ソフトウェアの互換性と対応アプリケーション
Windowsアプリケーションとの互換性
Windowsは多くのアプリケーションが対応しているため、ユーザーがソフトウェアの選択肢に困ることはほとんどありません。一方、Ubuntuでは一部のWindows専用ソフトが動作しない場合があります。これを解決するために「Wine」という互換レイヤーを使用して、Windowsのアプリケーションを動かすことができますが、互換性は完全ではありません。
オープンソースの代替ソフト
UbuntuにはMicrosoft Officeの代わりに「LibreOffice」、Adobe Photoshopの代わりに「GIMP」といった、同等の機能を持つオープンソースのソフトウェアが数多く存在します。これらのソフトウェアは無料で利用できるため、コスト削減に大きく貢献します。
7. 端末（ターミナル）の利用
Ubuntuのターミナル
Ubuntuでは「ターミナル」が非常に強力なツールとして活用されます。ターミナルを使ってソフトウェアのインストールやシステムの管理が行えるため、操作に慣れると非常に効率的です。例えば、複数のソフトウェアを一度にインストールしたり、システム情報を即座に確認するなど、コマンドライン操作でスムーズに処理ができます。
Windowsのコマンドプロンプトとの違い
WindowsにもコマンドプロンプトやPowerShellがありますが、Ubuntuのターミナルは、より多機能で柔軟な操作が可能です。特にシステム管理者や開発者にとって、ターミナルのコマンド操作が習慣になっているLinux系OSの方が効率が良いと言えます。
8. コストとライセンス
コスト面
Windowsは通常ライセンス料がかかりますが、Ubuntuは完全に無料です。Ubuntuはオープンソースであり、誰でも自由にダウンロード、インストール、利用することができます。特に、古いPCを再利用する際には、無料のUbuntuが最適な選択肢となります。
ライセンスの柔軟性
UbuntuはGNU GPL（General Public License）などのオープンソースライセンスの下で提供されており、ソースコードの閲覧や修正が可能です。企業や教育機関でも無料で導入でき、カスタマイズが容易なため、コストを抑えながら高い自由度を持つシステム構築が行えます。
まとめ
Ubuntuはオープンソースであるため、セキュリティ性や自由度、コスト面で多くのメリットを持つOSです。Windowsに慣れたユーザーでも、Ubuntuのデスクトップ環境に慣れれば快適に利用できるでしょう。特に、古いPCの再利用や予算を抑えたシステム構築、あるいはより高いセキュリティを求める場合には、Ubuntuへの移行を検討してみる価値があります。
Ubuntuは、エコロジーとコストパフォーマンスの観点からも注目されているOSであり、今後さらに多くのユーザーに支持されることが期待されています。
