

今回は、Windows 11が入ったPCに macOS を追加して、起動時にどちらか選べるデュアルブート環境を作る手順を、実機(Ryzen 5 5600G / 16GB / SSD256GB)で丁寧に解説します。
本記事はテスト目的の手順紹介です。公式サポート外の方法であり、動作保証はありません。実行は必ず自己責任でお願いします。
この記事で分かること
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必要な準備(スペック、ダウンロードするもの)
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OpenCore Simplify を使ったEFI生成の手順
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USBポートのマッピング(USB Toolbox)と kext の導入
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インストール用USBの作成(Rufus + macrecovery)
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Windows側でのパーティション準備、BIOS設定、macOSのインストール
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USB無しでもmacOSを起動できるようにする手順(EFIを内蔵にコピー)
注意(必読)
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重要なデータは必ずバックアップしてください。パーティション操作や設定ミスでデータが消える可能性があります。
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この手順は Apple の EULA(利用規約)に反する可能性があります。実行は自己責任でお願いします。
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使用するツールやバージョンは変わることがあります。作業前に最新の配布ページを確認してください。
必要なPCスペック(今回の実機)
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CPU:Ryzen 5 5600G
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メモリ:16GB
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ストレージ:SSD 256GB(空き 50GB 以上推奨)
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USBメモリ:1本(16GB以上推奨)

今回ダウンロードするツール
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OpenCore Simplify(EFI自動生成ツール)→https://github.com/lzhoang2801/OpCore-Simplify
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USB Toolbox(USBポートマッピング用)→https://github.com/USBToolBox/tool
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USBToolBox kext(USB用 kext) →https://github.com/USBToolBox/kext
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OC Auxiliary Tools(config.plist 編集・ESPマウント等)→https://github.com/ic005k/OCAuxiliaryTools
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Rufus(USBフォーマット)→https://rufus.ie/ja/
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macrecovery(OpenCore の macOS リカバリ取得スクリプト)→https://github.com/acidanthera/OpenCorePkg
- macOSダウンロード →Legacy macOS: Online Method | OpenCore Install Guide
準備(共通)
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大事なファイルはすべてバックアップ。
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作業用に 16GB 以上のUSBを用意。
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Windows 側で必要な管理者権限を使えるようにしておく。
手順:OpenCore Simplify で EFI を作る
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GitHub から OpenCore Simplify をダウンロードしてZIPを解凍。
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opencore simplify.batを実行。-
Python が未インストールならインストール確認が出るので
Yを入力してインストール。
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メニューで
1を押し、PCのハードウェアスキャンを実行。 -
スキャン完了後
Eを押して対応 macOS バージョン一覧を表示。 -
今回は macOS 15 Sequoia を入れるので「24」を入力(表示される番号に合わせて選択)。
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必要なドライバ・SMBIOS等が自動で選ばれるので、最後に
6を入力して EFI を生成。 -
オーディオドライバの選択画面では緑字の番号を入力(今回の例では
99を指定)。 -
生成された EFI フォルダをデスクトップなど分かる場所にコピーしておく。
コツ:設定画面は後で参照するので最小化して残しておくと便利です。
手順:USBポートのマッピング(USB Toolbox)
macOS は USB の認識に制限があるため、正しい USB マップが必須です。
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GitHub から USB Toolbox をダウンロード(Windows 用)し、
USBToolbox.exeを起動。 -
操作手順(メニュー操作)
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C:設定変更(必要に応じて) →Bで戻る -
S:使用するポートを選択 -
K:USB マップファイル生成(USBMap.kext) -
※「ポートがない」と出た場合は
D→B、次にAで全ポート選択して再試行するとよい場合あり。
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生成された USBMap.kext を
EFI/OC/Kextsにコピー。 -
ダウンロードしておいた USBToolBox kext(例:1.2.0 RELEASE) のフォルダも
EFI/OC/Kextsにコピー。
手順:config.plist に kext を追加(OC Auxiliary Tools)
USB周りの kext を読み込ませるために config.plist を編集します。
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OC Auxiliary Tools をダウンロード・解凍して起動。
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File→Openで EFI 内のOC/config.plistを開く。 -
Kernelセクションで+を押し、USBMap.kextとUSBToolBoxkextを追加。 -
保存してツールを閉じる。
手順:インストール用 USB を作る(Rufus + EFIコピー)
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Rufus をダウンロードして起動。
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USBを選択し、フォーマット設定:パーティション方式は GPT、ファイルシステム FAT32 を選択。
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「ブートの種類」は指示に合わせて(手順書中は「非ブート」を選択とあるケースがあるため画面表記に注意)。
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フォーマットが完了したら、先ほど作成した EFI フォルダ を USB にコピー。
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USB に自動で入る autorun 等のファイル(
autorun.inf等)は不要なら削除しておく。
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手順:macOS リカバリ(macrecovery を使って取得)
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OpenCore の
macrecoveryスクリプトを使って Apple 公式サーバーからリカバリイメージを取得します。 -
コマンドプロンプト(管理者)で指定コマンドを実行すると、
com.apple.recovery.bootフォルダが生成されます。 -
生成した
com.apple.recovery.bootを USB のルートにコピーします。
→ これでインストール用 USB の中身が完成します。
手順:Windows 側でパーティションを用意
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スタートメニューを右クリック → ディスクの管理 を開く。
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C:ドライブを右クリック → ボリュームの縮小 を選択。-
縮小容量は 50GB 以上(目安は 80GB 推奨)にする。
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できた未割当領域を右クリック → 新しいボリュームを作成し、exFAT でフォーマット、名前は
MacOS(任意)にする。
手順:BIOS 設定とインストール
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PC を再起動して BIOS/UEFI を開く。
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Secure Boot を無効化する。
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USB を 最初の起動デバイスに設定して保存・再起動。
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OpenCore のブートメニューが出たら USB から起動 → インストーラーが自動で始まります。
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言語を選び、ディスクユーティリティを開く。
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先ほど用意した
MacOSパーティションを選択 → 消去 → フォーマットを APFS に設定して実行。 -
ディスクを選んで「macOS をインストール」を選択。インストールが始まります(数回再起動されます)。
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インストール完了後、macOS の初期設定画面が表示されます。
手順:USB無しで macOS を起動可能にする(EFI を内蔵にコピー)
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インストール直後は USB がないと macOS が起動しない場合が多いので、USBの EFI を内蔵ディスクの EFI にコピーします。
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OC Auxiliary Tools を起動し、
Mount ESP(EFIパーティションをマウント)を実行。-
macOSでツールが「ブロックされた」と出たら、システム環境設定 → プライバシーとセキュリティ で「このまま開く」をクリックして許可し、管理者パスワードを入力して実行してください。
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マウントされた EFI(NO NAME など)を開き、
EFIフォルダ内に USB のBOOTとOCフォルダをコピー。 -
コピーが完了したら再起動してWindowsを立ち上げます
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コマンドプロンプトを管理者で実行しますこの文字を入力します
bcdedit /set {bootmgr} path \EFI\OC\OpenCore.efi
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これで起動時にOpenCoreメニューが読み込まれ、Windows と macOS の選択肢が出るようになります。
トラブルシューティングのヒント
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マウス・キーボードが動かない:USB マップが正しくない可能性。USB Toolbox で作り直す。
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ツールが起動できない(ブロックされる):macOS のセキュリティ設定で「このまま開く」を許可する必要あり。
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EFIが読み込まれない:
config.plistの kext 設定やファイル配置を再確認。OC Auxiliary Toolsで plist を開いて確認すると分かりやすい。

まとめ
今回は、Windowsパソコンに macOS をインストールする手順を最初から最後まで丁寧に解説しました。Windows を消さずに 1 台のパソコンで macOS を動かす――この仕組みが Hackintosh(ハッキントッシュ) と呼ばれる方法です。
正直、初めてやるときは設定項目も多くて少し難しく感じるかもしれません。でも、やってみると意外とスムーズで、コツをつかめば誰でも構築できると思います。OpenCore Simplify で EFI を自動生成し、USB マッピングを正しく設定すれば、かなり安定した macOS 環境を作ることができます。
そして、実際に macOS を使ってみた感想ですが、思っていたよりも動作が軽く、アプリの起動もスムーズでした。ブラウジングや動画編集、軽いデザイン作業ならまったく問題ありません。
もし余っているパソコンがあれば、ぜひ一度テスト的に試してみてください。想像以上に macOS が快適に動作するはずです。



