
LANケーブルに対する疑問
「LANケーブルなんて、どれを使っても同じじゃないの?」
「CAT5eとCAT6Aで、本当に速度が変わるの?」
「高いケーブルを買う意味って、あるの?」
インターネットを使う上で、誰もが一度は抱くこんな疑問。実は私も、最初はそう思っていました。LANケーブルは所詮、データを運ぶただの線でしょう、と。
しかし、実際に検証してみると、想像以上に奥が深く、そして意外な発見がたくさんありました。
今回は、同じパソコン、同じインターネット環境でLANケーブルだけを差し替えて速度を計測するという、シンプルかつ徹底的な検証を行いました。その結果、カテゴリごとの特徴や「数値には現れない体感としての速度の違い」に、驚くべき差があることがわかりました。
検証条件:信頼性を高めるために
使用機器の統一
検証の信頼性を高めるために、条件を徹底的に統一しました。
固定した条件:
- 同じパソコン
- 同じルーター
- 同じインターネット回線(1Gbps契約)
- 同じ測定サイト
変更した条件:
- LANケーブルのみ
これにより、速度の違いが確実に「LANケーブルの違い」によるものだと言えるわけです。
測定時間と基準値
速度測定は、時間帯や回線の混雑状況によって大きくブレることがあります。今回は2025年11月21日の16:00から30分間で実験を行いました。
まず基準として、日常で使っているCAT6AのLANケーブルで速度を計測したところ、約300Mbpsという結果でした。
この300Mbpsという数値を、今回の検証における「基準値」として設定し、他のすべてのケーブルはこの数値と比較する形で評価していきます。
ちなみに、契約しているインターネット回線は1Gbps(理論上は最大1000Mbps)ですが、実測で300Mbpsというのは一般的な家庭環境では非常に現実的な数値です。
検証結果:衝撃の事実が明らかに
今回検証したLANケーブルは以下の5本です。印刷されている文字が見にくいため、色と形で分類しました。
測定結果一覧
| ケーブル | カテゴリ | 形状 | 速度 |
|---|---|---|---|
| 青色 | CAT5e | 丸型 | 330Mbps |
| 白色 | CAT5e | 丸型 | 290Mbps |
| 緑色 | CAT6 | 丸型 | 89Mbps ⚠️ |
| 黒ゴールド | CAT6A | 平型 | 320Mbps |
| 白色 | 不明 | 平型 | 320Mbps |
驚きのポイント1:CAT5eがCAT6Aを上回る
理論上、CAT5eよりもCAT6やCAT6Aの方が高性能なはずです。
しかし、青色のCAT5eは330Mbpsという、基準のCAT6A(320Mbps)を上回る速度を記録しました。
これは一体どういうことなのでしょうか?
答え: 環境が1Gbps以下なら、CAT5eでも十分な性能を発揮できるということです。カテゴリの高さが必ずしも速度に直結するわけではないのです。
驚きのポイント2:CAT6が最も遅い
そして、もう一つの大きな驚きが緑色のCAT6の結果です。
CAT6は、CAT5eより上位の規格です。それなのに、速度はわずか89Mbps。これは基準値の約3分の1以下です。
なぜこんなに遅いのか?
考えられる原因は以下の通りです:
- ケーブルの経年劣化 – 内部の銅線が酸化
- 内部の断線や損傷 – 曲げ・踏みつけによる物理的ダメージ
- 品質の低い製品 – いわゆる「粗悪品」
- ノイズの影響 – シールドの不備
このケースは、「カテゴリが高ければ安心」というわけではないことを如実に示しています。
驚きのポイント3:カテゴリ不明でも高速
興味深いのが、白い平型のケーブルです。
このケーブルはカテゴリ表示がありませんでした。それでも、速度は320MbpsとCAT6Aと同等の結果を出しています。
これは、ケーブルの品質や状態が良好であれば、たとえカテゴリ表示がなくても高速通信が可能であることを示しています。
ただし、これは「運が良かった」とも言えます。表示のないケーブルは品質にばらつきがあるため、基本的には避けるべきです。
LANケーブルのカテゴリとは?
主なカテゴリと性能
LANケーブルのカテゴリとは、どれだけ高速で安定した通信ができるかを示す規格です。
| カテゴリ | 最大速度 | 帯域幅 |
|---|---|---|
| CAT5e | 1Gbps | 100MHz |
| CAT6 | 1Gbps | 250MHz |
| CAT6A | 10Gbps | 500MHz |
帯域幅の重要性
ここで、非常に重要なのが「帯域幅」です。MHz(メガヘルツ)という単位を使います。
帯域幅とは、簡単に言えば「一度に運べるデータの道幅」のようなものです。
例えば、同じ1Gbpsという最大速度でも:
- CAT5eは100MHz
- CAT6は250MHz
- CAT6Aは500MHz
という違いがあります。
MHzが大きいほど:
- ノイズに強い
- 安定した通信ができる
- 速度の変動が少ない
つまり、単に「速い」だけでなく、「安定して速い」ということが重要なのです。
最も重要な発見:立ち上がり速度の違い
ここからが、今回の検証で最も興味深く、そして実用上、最も重要なポイントです。
それが、速度が300Mbpsに到達するまでの「立ち上がり方」の違いです。
CAT5eの挙動:徐々に加速
CAT5eで速度測定を開始すると、徐々に速度が上がっていき、最終的に300Mbps前後で安定するという挙動です。
車で例えると: ゆっくりとアクセルを踏んで、じわじわと加速していくイメージ
CAT6Aの挙動:瞬間加速
一方、CAT6Aで測定を開始すると、測定開始からほぼ即座に最高速度に到達するのです。
車で例えると: アクセルを踏んだ瞬間に、スッと加速するイメージ
なぜこの違いが生まれるのか?
この違いは、帯域幅とノイズ耐性の差によるものです。
CAT6Aの特徴:
- 帯域幅が広い(500MHz)
- ノイズに強い
- 通信を安定させるまでの時間が短い
そのため、通信開始直後から高い速度を維持できるのです。
CAT5eの特徴:
- 帯域幅が狭い(100MHz)
- ノイズの影響を受けやすい
- 通信が安定するまでに時間がかかる
そのため、徐々に速度が上がっていくという挙動になります。
実用上の影響
この「立ち上がり速度の違い」は、実際の使用感に大きく影響します。
影響を受ける場面:
- 動画の読み込み開始
- オンラインゲームの接続開始
- Zoom会議の開始時
- 大きなファイルのダウンロード開始
これらの場面では、「最初の数秒間の速度」が非常に重要です。
CAT6Aの体験:
- 動画がすぐに再生される
- ゲームの接続がスムーズ
- Zoom会議の映像がすぐに安定する
CAT5eの体験:
- 最初の数秒間は低速
- 徐々に速くなる
- 最終的には同じ速度になる
最終的な速度が同じでも、「最初の体感」が大きく異なるのです。
通信の「余裕」が安定性を生む
仮に、最終的な測定値が同じ300Mbpsだったとしても、CAT5eとCAT6Aでは通信の安定性に差が出ます。
それは、帯域幅の違い=通信できる”余裕”の違いです。
能力の使用率
- CAT5e: 最大1Gbps対応 → 300Mbpsは能力の約30%
- CAT6A: 最大10Gbps対応 → 300Mbpsは能力の約3%
この「余裕」の差が、実際の通信の安定性に直結します。
余裕がある通信のメリット
- 電磁波干渉に強い – 電気製品や他のケーブルからの干渉を受けても影響が出にくい
- 複数機器に強い – 複数の機器が同時に通信していても速度が落ちにくい
- 長距離に強い – ケーブルが長くても信号の減衰が少ない
- 劣化に強い – ケーブルが少し劣化しても性能低下が起こりにくい
常に300Mbps前後で安定していれば、「快適」に感じるのです。
LANケーブルの劣化:CAT6が遅かった理由
今回の検証で最も衝撃的だったのが、緑色のCAT6が89Mbpsという結果だったことです。
劣化の原因
1. 経年劣化
ケーブルは長年使っていると:
- 内部の銅線が酸化
- 被覆が劣化
- 電気信号が正しく伝わらなくなる
2. 物理的な損傷
- 強く曲げる
- 踏みつける
- 引っ張る
これらにより、内部で断線が起こることがあります。完全に切れていなくても、部分的な断線で速度が大きく低下します。
3. 粗悪品の可能性
安価な製品の中には、CAT6と表示されていても実際には規格を満たしていないものがあります。いわゆる「粗悪品」です。
学ぶべき教訓
この結果から学べるのは、「カテゴリが高い=必ず速い」ではないということです。
ケーブル選びでは:
- カテゴリだけでなく、品質も重要
- 使用状態や保管状態も重要
- 信頼できるメーカーの製品を選ぶ
ことが大切です。
おすすめのLANケーブル選び
では、実際にLANケーブルを選ぶとき、どれを選べば良いのでしょうか?
シーン別おすすめ
一般的な家庭環境
推奨:CAT5e
- 日常使用には十分な性能
- コストパフォーマンスが良い
- 1Gbps対応
⚠️ ただし、品質の良い製品を選ぶこと
安定性重視・将来対応
推奨:CAT6A
- 立ち上がりが速く、ノイズに強い
- 10Gbps回線にも対応
- 将来的に高速回線にする予定があれば安心
長いケーブルが必要な場合
推奨:CAT6A一択
- 10メートル以上伸ばすなら必須
- 長距離でも速度低下が少ない
- シールド構造で信号劣化を最小限に
避けるべきLANケーブル
逆に、以下のようなケーブルは避けるべきです。
1. 極端に安い製品
特徴: 数百円の激安ケーブル
問題点:
- 品質に問題があることが多い
- 規格未達の可能性
- すぐに劣化する
2. カテゴリ表示がない製品
特徴: 規格表示なし
問題点:
- 規格を満たしているか不明
- 性能が保証されない
- トラブルの原因に
3. 細すぎる平型ケーブル
特徴: 薄くて平らなデザイン
問題点:
- ノイズに弱く、速度が出にくい
- シールドが薄い
- 断線しやすい
- 長距離に不向き
4. 古いケーブル
特徴: 5年以上使用
問題点:
- 劣化している可能性が高い
- 内部の銅線が酸化
- 被覆が硬化・劣化
- 性能低下
まとめ:検証で明らかになったこと
今回の検証を通じて、以下のことが明らかになりました。
1. カテゴリが高いほど、立ち上がりと安定性が良い
最終的な速度が同じでも、通信開始時の挙動に大きな差があります。
2. CAT5eでも十分に高速
1Gbps環境なら、CAT5eでも300Mbps以上の速度が出ます。
3. CAT6Aの方がブレが少なく安定
帯域幅に余裕があるため、ノイズや負荷の影響を受けにくいです。
4. 品質と状態が最も重要
古いケーブルや品質が悪いものは、カテゴリが高くても速度が出ません。
5. 体感速度の違いが決定的
- CAT5e: 徐々に速度が上がる
- CAT6A: 開始直後から高い速度が出る
この違いが、実際の使用感を大きく左右します。
実用的なアドバイス
インターネットの使い心地は「瞬間の速さ」で大きく変わります。
特に重要な場面:
- 動画の読み込み
- オンラインゲームの接続
- Zoom会議の開始
- 大きなファイルのダウンロード
これらの場面では、遅延やラグが気になります。そういった状況では、CAT6Aの安定性と立ち上がりの速さが非常に有利です。
おわりに
今回は、LANケーブルのカテゴリとインターネット速度の関係について、実際の検証結果をもとに詳しく解説しました。
「LANケーブルを変えるだけで、本当に体感速度が変わるのか?」
この疑問に対する答えは、「イエス」です。
ただし、それは単純な速度の数値だけでなく、立ち上がりの速さや安定性という数値には現れにくい部分で大きく違いが出るということです。
もし、自宅のインターネット速度が不安定だったり、動画の読み込みが遅かったり、オンラインゲームでラグを感じたりする場合は、ぜひ一度、LANケーブルを見直してみてください。
たった数百円から数千円の投資で、インターネット環境が劇的に改善する可能性があります。
今回の検証結果が、皆さんのインターネット環境改善のヒントになれば幸いです。
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