
今回ご紹介するのは、VanillaOSです。
Fedora系とは少し違う考え方で作られた、とても面白いイミュータブルLinuxです。
VanillaOSがどんなLinuxなのか、できるだけ分かりやすく解説しながら、実際にインストールして使い勝手も検証していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
VanillaOSとは何か

VanillaOSは、2022年に公開された比較的新しいLinuxディストリビューションです。
もともとはUbuntuをベースに開発されていましたが、その後、設計思想が大きく見直されました。
現在は独自の仕組みを取り入れながら開発が続けられています。
このOSのコンセプトは非常にシンプルです。
OSは安全に保ち、アプリは自由に使う
この考え方がVanillaOSの大きな特徴です。
Bluefinとの違い
Bluefinと似ているように見えるかもしれませんが、内部の設計思想は異なります。
この違いについても後ほど詳しく解説します。
イミュータブルLinuxとは何か(簡単なおさらい)
まず、イミュータブルLinuxの基本を整理しておきます。

通常のLinuxでは、OSの中に直接ソフトをインストールしたり、システム設定を変更できます。
自由度が高い反面、設定ミスやアップデート失敗によって、OS全体が不安定になることもあります。
一方でイミュータブルLinuxは考え方が異なります。
- OS本体はできるだけ変更しない
- アプリは別の仕組みで管理する
イメージとしてはスマートフォンに近い仕組みです。
AndroidやiPhoneではOS自体を頻繁に書き換えることはありません。
アプリを追加して使い、問題が起きてもOS全体が壊れることはほとんどありません。
イミュータブルLinuxも同じように、
- システムが壊れにくい
- アップデートに強い
- ロールバックしやすい
というメリットがあります。
VanillaOSの設計思想
VanillaOSの特徴は、OSとアプリを徹底的に分離している点です。
家に例えると分かりやすいです。
- OS=家そのもの
- アプリ=家具や家電
通常のLinuxは「家を改築しながら家具を置く」イメージです。
柔軟ですが、改築に失敗すると全体に影響します。
VanillaOSは違います。
家はそのまま、家具だけ自由に入れ替える
この設計により、アプリの問題がOS全体へ波及しにくくなっています。
さらにVanillaOSは以下を積極的に活用しています。
- コンテナ技術(アプリごとに独立した環境)
- Flatpak(安全にアプリを配布・実行)
これにより、従来のLinuxとは異なるアプリ管理が実現されています。
Bluefinとの設計思想の違い
同じイミュータブルLinuxでも、方向性が違います。

Bluefin
- Fedora Atomic Desktopをベース
- Fedoraの仕組みを活かした設計
- 安定性と完成度を重視
- 「丈夫な家をさらに強くする」イメージ
VanillaOS
- アプリとOSの分離をより強く重視
- コンテナ中心の設計思想
- OSに触らない前提の構造
- 「家と家具を完全に分ける」イメージ
どちらも目的は同じです。
システムを壊れにくくすること
ただし、そのアプローチが異なります。
VanillaOSのインストール手順
ここからは実際のインストール手順です。
1. ISOファイルのダウンロード
公式サイトからVanillaOSのISOイメージをダウンロードします。
寄付をする場合は任意で支援が可能で、0を入力すれば無料ダウンロードも選択できます。
2. USBメディア作成
ダウンロードしたISOをUSBメモリに書き込みます。
今回はFedora系の標準ツール(Media Writer)を使用しました。
操作はシンプルで、
- ISO選択
- USB選択
だけで作成できます。
3. USBから起動・インストール開始
USBから起動すると、VanillaOSのウェルカム画面が表示されます。
デスクトップ上のインストーラーを起動し、ウィザードに従って進めます。
設定項目は以下の通りです。
- 言語選択
- キーボード設定
- Wi-Fi設定
- 日付と時刻
- インストール先ディスク
- パスワード設定
4. インストール完了
インストールには時間がかかりますが、完了後に再起動します。
USBを抜いて再起動すると、VanillaOSが起動します。
5. 初期設定
初回起動後は以下を設定します。
- デバイス名
- ユーザー名
- パスワード
- デスクトップテーマ
さらに基本アプリのインストールも行います。
デスクトップの印象

起動直後のVanillaOSは非常にシンプルです。
必要最低限のアプリだけが配置されています。
- GNOMEベースのデスクトップ
- Ubuntuに近い操作感
- 初心者でも馴染みやすい構成
日本語入力でつまずいたポイント
ここでイミュータブルLinux特有の壁に直面しました。
初期状態では日本語入力が使えません。
通常のLinuxであれば、
sudo apt install fcitx5
などで簡単に追加できます。
しかしVanillaOSでは事情が異なります。
通常のインストールはOS本体ではなくコンテナ側に入るため、再起動すると反映されないことがあります。
これがイミュータブルLinuxの特徴です。
日本語入力の設定方法
今回はOS本体側へ以下を追加しました。
- ibus
- mozc
その後、システムへ反映させるための処理を実行します。

日本語入力設定iBus+Mozc
abroot pkg add ibus-mozc
追加したパッケージをシステムへ反映
abroot pkg apply
VanillaOSでは「ABRoot」という仕組みを使い、OSイメージを切り替える形で反映されます。
つまり従来のようにその場で書き換えるのではなく、
新しいシステムを作り、次回起動時に切り替える
という方式です。
再起動後は設定画面から
- キーボード設定
- 入力ソース追加
- 日本語(Mozc:あ)選択
を行うことで、日本語入力が可能になります。
アプリのインストール方式
VanillaOSでは従来のLinuxとは異なり、
- コンテナ環境
- Flatpak
を中心にアプリを管理します。
そのためOS本体を直接変更することは基本的にありません。
この仕組みにより、
- アプリ同士の干渉が少ない
- システムが安定する
- 壊れにくい
というメリットがあります。
ロールバック(重要)
ここがイミュータブルLinuxの核心です。
通常のOSではアップデート失敗時に復旧が大変ですが、VanillaOSは違います。
起動時には2つのシステムが存在します。
- A:現在のシステム
- B:前の安定システム
普段はAを使用しますが、問題が発生した場合はBへ切り替えるだけで復旧できます。
つまり、
壊れたシステムを修復するのではなく、正常な状態へ戻す
これがロールバックです。
アップデートは「上書き」ではなく「切り替え」。
そのため非常に安全に更新できます。
VanillaOSを使って感じたこと
実際に使ってみると、設計思想の違いがよく分かります。

VanillaOSはとにかく
- OSを触らない
- アプリを隔離する
- 安定性を優先する
という思想が強く反映されています。
まとめ

VanillaOSは以下のような人に向いています。
- イミュータブルLinuxを体験したい
- 安定したOSを使いたい
- 新しいLinuxの設計思想に興味がある
一方で、
- OSを細かく改造したい
- システム内部まで自由に触りたい
という人には少し制約が強く感じられるかもしれません。
最後に
イミュータブルLinuxは一つの形ではなく、複数のアプローチが存在します。
- BluefinはFedoraベースの堅実な進化型
- VanillaOSは分離思想を徹底した新しい設計
どちらも目的は同じです。
「壊れにくいOSを作ること」
Linuxは今、自由度だけでなく「安心して使えるOS」という方向にも進化しています。



