
「初めてLinuxを使うなら、どれがおすすめですか?」
この質問は、これまで本当によくいただいてきました。そして正直に言うと、1年前の自分と今の自分とでは、この質問への答えが変わっています。
以前の自分なら、きっとこう答えていたと思います。
- 「まずはUbuntuを使ってみましょう」
- 「Linux Mintが軽くて使いやすいのでおすすめです」
この2つは、今でも非常に完成度が高く、素晴らしいディストリビューションであることに変わりはありません。

ですがこの数か月で、Pop!_OS、elementary OS、Bluefin、Vanilla OS、CachyOSなど、さまざまなLinuxを実際に使ってきました。その中で、「初心者に本当におすすめできるLinuxとは何か」という考え方が、少しずつ変わっていきました。

性能が一番高いLinuxでもありません。一番軽いLinuxでもありません。今、一番大切だと思うのは、Windowsから移行した人が、迷わず使い始められることです。
Linuxを挫折してしまう本当の理由
Linuxを始めた人が途中で使うのをやめてしまう理由は、「Linuxが難しいから」ではないと考えています。

一番多いのは、最初に画面を見た瞬間に戸惑ってしまうことです。
- スタートメニューはどこだろう
- アプリはどうやって開くんだろう
- 設定画面はどこにあるんだろう
そんな小さな違和感が積み重なって、「やっぱりWindowsに戻ろう」と感じてしまう人が少なくありません。
これは自分自身が経験したことでもあります。人生で初めて触ったLinuxはUbuntuでした。今ではUbuntuを素晴らしいディストリビューションだと思っていますが、当時はWindowsとの操作感の違いに戸惑い、「アプリはどこから開くんだろう」「設定はどこにあるんだろう」と、一つひとつ調べながら使っていたことを今でも覚えています。

だからこそ、初めてLinuxを使う方が戸惑う気持ちは、とてもよく分かります。軽さや機能の多さよりも、迷わず使い始められることの方がずっと重要だと考えるようになりました。
その基準で選ぶなら「Zorin OS」

その基準で選ぶなら、今一番おすすめしたいのが Zorin OS です。
Zorin OSを初めて起動したときに驚いたのは、デスクトップ画面そのものでした。
- スタートメニュー
- タスクバー
- 通知エリア
- 右クリックメニュー
どれを見ても、Windowsを使っていた人が迷わないように丁寧に作られています。もちろん、Windowsをそのまま真似しただけではありません。「Windowsユーザーが安心してLinuxへ移行できること」という設計思想が、細かな部分まで反映されています。
UbuntuやLinux Mintとの違い
これまでGNOMEやKDEなど、さまざまなデスクトップ環境を使ってきました。どれも完成度が高く、それぞれに魅力があります。ですが、「家族や友人に初めてLinuxを渡すなら」と考えたとき、少し迷うことがありました。
Ubuntuは洗練されたデスクトップですが、Windowsとは操作の考え方が違います。例えば最初に戸惑うのがアプリの探し方です。Windowsではスタートメニューを開けば自然に分かりますが、Ubuntuではその最初の一歩から少し考え方が異なります。慣れてしまえば何も難しくありませんが、その「慣れるまで」が初心者には意外と大きな壁になります。
Linux Mintも非常に完成度の高いディストリビューションです。軽くて安定していて、古いパソコンを復活させるなら今でも有力な選択肢だと思っています。
ただ、初めてLinuxを使う人に一台だけおすすめするなら、今選ぶのはZorin OSです。理由はシンプルで、Windowsから乗り換えても、ほとんど迷うことなく使い始められるからです。
「Zorinアピアランス」という工夫
Zorin OSには「Zorinアピアランス」という便利な設定があります。これを使うと、デスクトップのレイアウトを簡単に変更できます。
- Windowsに近い見た目
- Windows 7のような見た目
自分が一番慣れているレイアウトを選べるので、「どこを押せばいいんだろう」と迷う時間が大きく減ります。地味な機能に見えるかもしれませんが、これが一番重要なポイントだと考えています。
Linuxに乗り換えるとき、一番心が折れやすいのは性能ではなく「見慣れない画面」です。その心理的なハードルをできるだけ下げようとしているところに、Zorin OSの魅力があります。
中身がUbuntuベースであることもあり、Ubuntu向けに公開されているソフトや情報をそのまま活用できます。ブラウザ、Officeソフト、Steam、動画視聴など、普段使いに必要なことはほとんど問題なく行えます。
どちらを選ぶべき? Zorin OS と Linux Mint

この2つは競合というより、向いている人が違うディストリビューションだと考えています。
- Linux Mint:軽さや安定性を重視したい人。少し古いパソコンを長く快適に使いたいなら、とても魅力的な選択肢です。
- Zorin OS:Windowsから違和感なく移行したい人。初めてLinuxを触る人、家族のパソコンにLinuxを入れてあげたい人、仕事でWindowsを使いつつ自宅だけLinuxに挑戦したい人には、迷わずZorin OSをおすすめします。
選び方の目安

- 人生で初めてLinuxを使うなら → Zorin OS
- 古いパソコンをできるだけ軽く使いたいなら → Linux Mint
- Linuxに慣れて新しい仕組みに挑戦したくなったら → CachyOS、Pop!_OS、Bluefin、AuroraのようなイミュータブルLinuxも面白い選択肢
どれが一番優れているという話ではなく、大切なのは自分に合ったLinuxを選ぶことです。そのうえで、初めてLinuxに触れる人に一台だけ勧めるなら、今はZorin OSを選びます。
Zorin OSをインストールしてみよう
ここからは、実際にZorin OSをインストールする手順を紹介します。今回はWindows 10が入っているパソコンへZorin OSをクリーンインストールする手順を、最初から最後まで解説します。
ZorinOSダウンロード
→ https://zorin.com/os/
注意:クリーンインストールでは、Windowsは削除され、パソコンはZorin OS専用になります。大切なデータが残っている場合は、必ず事前にバックアップを取ってください。
また、おすすめしたいのはパソコンを2台以上持っている方です。普段使っているWindowsパソコンはそのまま残し、もう1台をLinux専用機にすると、分からないことがあってもWindowsで調べながら進められるので安心です。
準備するもの
- インターネットに接続できるWindowsパソコン
- 8GB以上のUSBメモリ(インストール用になるため、中のデータは消えます。必要なデータは先に別の場所へ保存してください)
- Zorin OSをインストールするパソコン
今回使用するのは無料版のZorin OSです。公式サイトからダウンロードできます。
手順1:ISOファイルをダウンロード
公式サイトで「Zorin OS Core」を選択し、スキップでダウンロードを開始します。ダウンロードには少し時間がかかるので、終わるまで待ちましょう。
手順2:USBメモリにインストールメディアを作成
USBメモリへのインストールメディア作成には「Rufus」を使います。Windowsでは定番のソフトなので、初めての方でも安心です。
- Rufusの公式ページから最新版をダウンロード
- ダウンロードフォルダからRufusを起動
- USBメモリを選択し、ダウンロードしたZorin OSのISOファイルを指定
- 「スタート」を押す
途中で確認画面が表示されますが、基本的にはそのまま進めて問題ありません。数分待つと、インストール用USBが完成します。
手順3:USBから起動する
USBメモリをZorin OSを入れたいパソコンへ接続し、パソコンを起動してUSBから起動します。機種によって操作方法は違いますが、多くの場合は電源を入れた直後にF2やDeleteキーを押すことで起動メニューが表示されます。
USBを選択するとZorin OSが起動し、「試す」か「インストールする」かの画面が表示されます。この時点ではまだパソコンへインストールされていないので、まずはマウスやWi-Fiが正常に動くか確認してみると安心です。画面右上などから言語を日本語に切り替えることもできます。
手順4:インストールを開始
問題がなければ「Zorin OSのインストール」を選択し、画面の案内に従って進めます。
- 言語:日本語を選択
- キーボード:通常は日本語を選択
- アップデートと他のソフトウェア:「アップデートをダウンロードする」「サードパーティー製ソフトウェアをインストールする」にチェックが入っていることを確認して「続ける」
手順5:インストールの種類を選ぶ(重要)
ここが今回一番大切なポイントです。Windowsを使わず、Zorin OS専用のパソコンにする場合は「ディスクを削除してインストール」を選択します。別のディスクへ間違えてインストールしないよう、必ず確認してから進めてください。
続いて、場所の選択(東京になっていることを確認)、名前とパスワードの入力(パスワードは2回入力)を行うと、インストールが始まります。
ファイルのコピーには数分から20分程度かかることが多いですが、パソコンによって時間は変わります。インストールが終わったら再起動し、USBメモリを抜きます。
インストール完了後
再び起動すると、いよいよZorin OSがパソコンへインストールされた状態になります。最初に表示されるデスクトップには、スタートメニューやタスクバーがあり、Windowsを使ってきた方なら、きっと安心できる画面だと思います。
さらに、Zorin OSはインストール直後から日本語入力が使えます。日本語入力システムのMozcがあらかじめ用意されているので、面倒な設定をしなくても、すぐに日本語で文字を入力できます。
もちろん、快適に使うためには最初にやっておきたいこともあります。最新の状態にするためのアップデートや、普段使うアプリのインストールです。Windowsでは自分でインストーラーをダウンロードすることが多いですが、Linuxではソフトウェアストアから簡単にインストールできるものがたくさんあります。最初は少し戸惑うかもしれませんが、一度覚えてしまえば、とても便利です。
まとめ
初めてLinuxに触れる人に一台だけおすすめするなら、今の自分はZorin OSを選びます。Windowsからの移行者に寄り添った見た目の作り込みと、Ubuntuベースならではの安定性・ソフトウェア資産の豊富さ。この2つが揃っているからこそ、「迷わず使い始められる」Linuxとして、自信を持っておすすめできます。



