
「高性能GPUのほうがゲームに有利」
これは常識です。
実際、Windows環境であれば
GTX1660SuperはRyzen内蔵GPUより圧倒的に高性能です。
しかし今回、Linux環境で検証したところ
その常識が崩れる結果になりました。
検証環境

今回は同じLinux環境で、2台のパソコンを比較しました。
どちらにも ZorinOS(Ubuntu系) をインストールし、
同じSteam環境で検証しています。
構成①
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CPU:Core i5 6500
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GPU:GTX1660Super(Turing世代)
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ドライバ:NVIDIA 590 / 580 / 535 を検証
構成②
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CPU:Ryzen 5 5600G
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GPU:内蔵 Radeon Vega
-
ドライバ:Mesa(Linux標準)
※今回はフレームレート比較ではなく、
「起動するかどうか」 を検証しています。
結果

GTX1660Super(NVIDIA)
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ドライバ590 → 起動せず
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ドライバ580 → 起動せず
-
ドライバ535 → 起動せず
-
Wayland / Xorg 両方試行 → 起動せず
Steamは一瞬反応した後、
何事もなかったように「プレイ」表示へ戻ります。
Ryzen 5600G 内蔵GPU(Mesa)
-
問題なく起動
-
設定を下げればプレイ可能
なぜ逆転が起きたのか?
ベンチマーク性能は約4倍差。
WindowsならGTX1660Superが圧勝です。
しかしLinuxでは違いました。
理由は、Linux特有の構造にあります。
LinuxでWindowsゲームが動く仕組み

LinuxでSteamのWindowsゲームを動かす場合、
内部では次のような流れになります。
ゲーム
↓
Proton(Windows APIの翻訳レイヤー)
↓
Vulkan(描画API)
↓
GPUドライバ
↓
ハードウェア
このどこかで問題が起きると、
性能があってもゲームは起動しません。
MesaとNVIDIAドライバの違い
Mesa(AMD)
-
オープンソース
-
Linuxカーネルとの統合が深い
-
Protonとの相性が比較的安定
NVIDIA proprietary driver
-
独自実装
-
ブラックボックス部分が多い
-
世代やバージョン依存が強い
今回の現象は、
NVIDIAの新旧ドライバ(590 / 580 / 535)すべてで起動しないことから、
単なる「最新ドライバの不具合」ではなく、
Proton × Vulkan × NVIDIAドライバの相性問題
の可能性が高いと考えられます。
重要なポイント

今回の検証で分かったことは、
Linuxでは、GPUの性能よりも
ドライバと互換性の完成度が重要
という事実です。
スペック表だけでは判断できません。
NVIDIAはダメなのか?
結論として、
「NVIDIAが悪い」という単純な話ではありません。
LinuxでWindowsゲームを動かすという構造自体が複雑で、
いくつものレイヤーを通るため、
相性問題が発生しやすいのです。
今後の検証予定
次は、
-
Protonのバージョン変更
-
Vulkanログの解析
-
NVAPI関連の確認
を行い、どこで止まっているのかを特定していきます。
まとめ
今回の検証結果:
-
GTX1660Super:起動しない
-
Ryzen 5600G 内蔵GPU:起動する
-
ドライバを変更しても改善せず
Linuxでは、
「高性能GPU=安定」
ではありません。
むしろ、
Linuxとの統合度が高いドライバのほうが
安定する場合がある。
これが今回の結論です。
もし同じような症状が出ている方は、
環境(ディストリビューション・ドライババージョン・GPU世代)を整理してみてください。
Linuxゲーミングは奥が深い世界です。



